EXPO2025 大阪・関西万博ひょうごフィールドパビリオンを振り返る

2025年10月13日をもって大阪・関西万博が閉幕しました。事前情報では色々とネガティブイメージの付きまとっていた万博ですが、会期中に徐々に上向きになり、最終的に一般来場者数は2557万8986人。大成功のもと幕を閉じたのではないでしょうか。

シンボルとなった大屋根リング 昼と夜ではまた違った姿、役割に

万博と関連して兵庫県では「ひょうごフィールドパビリオン」、丹波篠山市では「丹波篠山国際博」という独自事業を展開しており、私たち一般社団法人AZEも事業参画しコラボしてきました。12月20日のお酒のお披露目&開栓式をもって連携は一区切りとなりました。改めて万博とコラボした連携事業「ひょうごフィールドパビリオン」を振り返ります。

ミチのムコウ 特別純米酒(発泡性清酒) ご予約開始 | 狩場一酒造株式会社

  • 0.はじめに
  • 1.EXPO2025大阪・関西万博 夢洲パビリオン
  • 2-1.ひょうごフィールドパビリオン認定プログラム『Be Satoyama EXPO2025』
  • 2-2.提供コンテンツ「ミチのムコウ 100人ではぐくむ名前はまだ無い日本酒2025」
  • 3.里山・農村地域から未来社会へ ~グローバル社会との関わり~

1.【EXPO2025大阪・関西万博 夢洲パビリオン】

コンセプト -People’s Living Lab –

未来社会の実験場 A laboratory for a future society

展示をみるだけでなく、世界80億人がアイデアを交換し、未来社会を「共創」(co-create)。 

A space where 8 billion people from around the world will not only view exhibits but will co-create our future society.

万博開催前から、世界中の課題やソリューションを共有できるオンラインプラットフォームを立ち上げ。

Even before the Expo begins, an online platform for sharing challenges and solutions from around the world will be launched.

人類共通の課題解決に向け、先端技術など世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信する場に。

A place where the world’s knowledge such as cutting-edge technology will be brought together, used to create new ideas, and shared, all to help resolve global issues facing humankind.

出典:開催概要 | EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト

夜のライトアップ、ドローンによるナイトショーも
各パビリオンでは映像を中心に、社会課題と未来へのメッセージが込められていた

夢洲パビリオンでは、平日開催にも関わらず人の多さに圧倒されました。前評判ではあまりよろしくなかった万博ですが、皆さんやはり気になっていたのかもしれません。私も実際に訪れてみると興味をひかれるものがあちこちにありました。

さて、テーマにある「いのち輝く未来社会のデザイン」ですが、中心部にある「静けさの森」を通りがかったときに気がついたことがひとつ。木造の大屋根リングに囲まれ、中心には里山を模した「静けさの森」がたたずんでいました。コンクリートがメインの人工物である各パビリオンと自然環境との融合を表現しているのでしょう。

この森では、里山の自然環境を意識されているようで、よく見かけるタンポポやオオバコから里山の野草として今や少なくなってきているウツボグサ、ホタルブクロ、カワラナデシコ、、ワレモコウなどを見かけました。最先端のテクノロジーや未来ビジョン、世界の国と地域の文化が結集する各パビリオンにあって、日本の原風景を感じてほしいという意図が伝わってきましたが、こうした里山の草花は長いあいだ暮らしや営農の存在、人との関わりがあってこそのものであり、いまや希少種となってきているその背景にどれほどの方々が気づくことができたのだろうかと考えました。

たかが野草、されど野草。身の回りにある小さな緑には、実は様々な歴史が息づいているのです。「環境保全」といったときに何か特別なこと、博物館的に保存することをイメージされるかもしれません。一方、農村における「自然」とは、人々の営みの結果であり、特に近年では行政の農業インフラ整備、農家の営農方法による影響が大きく、畦草やその周辺の生きものたちはその変化に対応して生きてきました。市場へ出荷される米や野菜という生産物、田んぼや畑における慣行栽培や有機栽培という栽培方法にフォーカスするだけでは、農村・農業のほんの一部分を見ているにすぎません。像という動物を伝えようとおもったおきに、長い鼻がある、大きな耳があると、一部分を触っただけで説明することが難しいように。

里山の野草たち:ミソハギ、カワラナデシコ、オミナエシ、オニユリ、
キキョウ、ネジバナなどが花を咲かせていた

ひょうごフィールドパビリオンの真価はここにあると考えます。本質は切りとることのできない暮らし、現場にあり、脈々と受け継がれてきたものです。それら里山を知るきっかけとして万博の夢洲パビリオンは大切な入り口としての役割があり、本来の姿や成り立ちへの本当の学びはやはりフィールドにあります。そこには長い年月を経て受け継がれてきた歴史、文化、生態系が今もなお生きづいているのですが、「未来へ」という視点に立った時には今までのように伝えていくことが非常に難しくなっているのが現状です。当たり前に存在しているようで、日々の努力が必要不可欠な農村。その一端に触れていただき、楽しく体験しながらも未来へ伝える農村づくりに参加する「Be Satoyama EXPO2025」を振り返りましょう。

2-1.【兵庫県事業「ひょうごフィールドパビリオン」の認定プログラムとして】 

認定プログラム:Be Satoyama EXPO2025

コンテンツ:100人ではぐくむ名前はまだ無い日本酒

特集 | 丹波篠山市・丹波市の丹波地域の観光や旅行の魅力を紹介する公式観光ポータルサイト

『兵庫では、歴史も風土も異なる個性豊かな五国において、地域の人々が主体的に課題解決に挑み、未来を切り拓いてきました。「震災からの創造的復興」「人と環境にやさしい循環型農業」「豊穣な大地や海にはぐくまれた食材」「挑戦を繰り返してきた地場産業」「郷土の自然と暮らしの中で受け継がれてきた芸術文化」など、地域を豊かにする取組には、世界が持続可能な発展を遂げていくための多くのヒントが秘められています。

2025年「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開催される大阪・関西万博を舞台に、こうした兵庫の取り組みを国内外に発信します。

ひょうごフィールドパビリオンは、地域の「活動の現場そのもの(フィールド)」を、地域の方々が主体となって発信し、多くの人に来て、見て、学び、体験していただく取組です。                        出典:ひょうごフィールドパビリオン

●2023年3月28日 第1回 「大阪・関西万博」ひょうご活性化推進協議会

ひょうごフィールドパビリオン第1回の認定プログラムとして認定証をいただきました。

●2024年12月8日 サンテレビさんに取材していただきました

 日本の原風景”里山”【2024.12.8「ひょうご発信!」THAT’S FIPAVI~】

●2025年1月30日 兵庫躍動カフェ 丹波地域

グループ「ひょうごフィールドパビリオン」ファシリテーターとして

兵庫県/躍動カフェ~もっと躍動する兵庫へ~

関西ラジオにインタビューいただき出演させていただきました。

関西ラジオ 令和6年度【第2回】もっとみんなで。(26:00~より出演)

特別番組『もっとみんなで。躍動カフェ』 | ラジオ関西 AM558 FM91.1

●2025年5月26日 ひょうごフィールドパビリオンフェスタ共同出展

5月26日(月)、大阪・関西万博の夢洲パビリオンにて開催された『ひょうごフィールドパビリオンフェスタ』に共同出展。兵庫県立人と自然の博物館(三田市)で開催中の企画展『価値の手直し展 ~価値に気づく、モノの見方~』を中心に、私たちの取組み紹介やプロジェクトの稲藁を用いたアップサイクルの作品展示です。

2-2.【提供コンテンツ 「ミチのムコウ 100人ではぐくむ名前はまだ無い日本酒2025」 】

田んぼつくりからお米つくり、お酒つくりを、共に体験・協働しながら農村の未来を育んでいくコンテンツです。2026年も5年目がスタート。現在参加者募集中です!!

100人ではぐくむ名前はまだ無い日本酒 – ミチのムコウ

■2025年3月22日 田んぼつくり その1

【ミチのムコウ】100人ではぐくむ名前はまだ無い日本酒2025~田んぼ準備編~ | 丹波篠山 吉良農園

■2025年4月19日 田んぼつくり その2

【ミチのムコウ】100人ではぐくむ名前はまだ無い日本酒2025_田んぼ準備編その2 | 丹波篠山 吉良農園

■2025年5月8日、10日、11日 酒米つくり 田植え 

【ミチのムコウ】丹波篠山国際博オリジナル企画『農村×能村』 田植えVer | 丹波篠山 吉良農園

■2025年9月4日、6日、7日 酒米つくり 稲刈り

100人ではぐくむ 名前はまだ無い日本酒2025 稲刈り | 丹波篠山 吉良農園

■2025年10月 お酒つくり お酒のラベル決め

■2025年11月15日、16日、18日 お酒つくり 酒蔵見学

■2025年12月20日 フィナーレ お披露目&開栓式

3. 【里山・農村地域から未来社会へ ~グローバル社会との関わり】

グローバル社会ではほとんどが地球規模でのスケールとなり、豊かな社会となってきておりますが、その光と影について気づくことが難しくなってきています。新しい商品やサービス、金融に代表される現代経済、AI・テクノロジーの発展、食料・エネルギー資源のグローバルサプライチェーンの発達による恩恵を受ける一方で、地域格差の拡大、近年では新型コロナウイルスよるパンデミック、環境問題も国境を越え、一つの事業、活動がどのように影響していくのか抽象的な言葉では表現できても実感に乏しいのが現実ではないでしょうか。

長い歴史を経てホンモノが息づくフィールドとしての農村地域。その価値のひとつはもしかすると「小ささ」にあるのかもしれません。

「小ささ」の価値と多様性の意味

フィールドパビリオンの舞台である私たちの地域(住山・不来坂集落)の田んぼは、生産効率化を目的とした土地整備事業(昭和40年代に全国で実施され、今あたり前に見る長方形の田んぼになり、コンクリートの用排水路が整備されトラクターなどの機械化が進んだ)を行っていないために、田んぼのサイズが「小さく」、形も「いびつ」です。そのため隣り合った田んぼでも、水のたまり具合や日照に差があり、同じように作物を作りにくいこと、なおかつ山が近いこともあり、野生動物の被害(=獣害)が年々深刻化し安定した生産が難しくなってきているという問題もあります。このように条件の異なる田んぼが混在していることは、農業の生産効率性の面だけ切り取れば不利にしかなりませんが、条件がモザイク状に異なるからこそ生きものの多様性は担保されるという面も存在します。

農業をどうとらえるか。「お米を栽培する」という取組みを支えてきた水源地である山、山に生えている木々の歴史的な背景とかつての暮らしとのつながり、水路から田んぼに水を引くということ、その保全管理、田んぼの周りの畦草の管理とひもづいた生態系などがひとまとまりに感じられる環境として何を価値におくか。1年を通して、田んぼつくりから始まり、お米をはぐくみ、お酒をつくり、共に味わう。その過程においては、季節の移り変わり、田んぼによる様子の違いを感じ、いろいろな生きもの、畦草の草花、鳥のさえずりに出会い、「お米をつくる」という私たちの営みが地域の自然とともにあることを実感できるでしょう。と共にスケールは小さいとしても商品として名前やラベルデザインを考えたお酒が世に出るというローカルに閉じない経済活動に参加していく面も忘れてはならないポイントです。多様性とは、ひとつの地域において見方や立場を変えれば様々な価値軸を発見できる可能性という余白と言えるでしょう。

日本の里山地域はグローバル軸とローカル軸の交差点にある

 “We cannot solve our problems with the same thinking we used when we created them. ″

 「いかなる問題も、それが発生したのと同じ次元で解決することはできない。」
アイシンシュタインの有名な言葉とされています。

これは私たちの農業・農村における課題についても言えます。

農業の問題で話題にあがりやすい「担い手不足」を例にあげます。「農業所得が低い」から参入しない⇒「農業所得を上げれる」という構図はよく言われます。解決に向けコスト構造を分析し、売れる商品へのシフト、低コストでできる生産体制を整えます。取捨選択の結果、売れる商品への注力と集約生産ができる環境を求めた結果、私たちのような環境での農業はまず先に撤退となるか施設栽培による自然環境との分離が選択されます。現在の経済合理性では最適解だと思いますが、水源地であり、山からの野生動物の侵入を防ぐ最終防衛ラインでもあり、自然へのはたらきかけにより続いている生物環境は失われていきます。それが今後どのような影響がでてくるかは未知数ではありますが、取捨選択したものは今までの歴史ごと取捨選択することに等しいため再現することは非常に難しくなります。

このように農業を考えても、経済性や環境、食の安全や文化継承などひとつの次元では難しく、また地域だけの視点でも解決に限界があり、視野をぐんと上げ新しい次元でとらえ直す必要があります。グローバルな視点、ローカルな他分野との連携、農業に携わる人の新しい生き方に挑戦するタイミングにきていると言えます。

農村にはまだ脈々と息づいている環境と知恵をもつ人が暮らしており、一方で少子高齢化、人口減少に真っ先に直面している。万博テーマの「いのち輝く未来社会のデザイン」を、実感をともないながら描けるのが日本の里山地域であるといっても過言ではありません。グローバルのルールとローカルのルール、どちらが正しいというわけでなく、まさしくその交差点にいるのです。

これからの農村~越境型人財の活躍の場へ~

未来に向けて変えていくもの、残していくものを日々の実践を通して検証していく。

苦労もあり、発見もありの暮らしと仕事。そんな取組みを共に楽しむチーム。

「チーム吉良農園」と農村に化学反応を興す「一般社団法人AZE」のこれからについてはまた改めて。

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『一般社団法人AZE』 ~ 多軸なライフスタイルを ~
里山に学び、SATOYAMAを創る

【お知らせ】

●瓶内二次発酵特別純米酒「ミチのムコウ」 残りわずか!

 ⇒ 今年で4年目となる「ミチのムコウ」プロジェクト。

参加型プログラム「100人ではぐくむ名前はまだ無い日本酒」では、田んぼつくり(施肥、耕耘、畦塗り)から酒米つくり(田植え、稲刈り)を経て、お酒つくり(今年のお酒の名前&ラベルデザイン)に参加者みんなで取組みます。できあがったこの特別なお酒はプロジェクト名「ミチのムコウ」として12月20日から数量限定で一般販売中です(なおプログラム参加者へは自分たちで考えたオリジナルラベルの日本酒が届きます!)。瓶内二次発酵というシュワシュワのお酒をお楽しみください。

この商品の料金の一部は、里山保全につながる「ミチのムコウ」プロジェクトを支援する資金として寄付されます。

ミチのムコウ 特別純米酒(発泡性清酒) ご予約開始 | 狩場一酒造株式会社

田んぼつくりからお米つくり、お酒つくりを、共に体験・協働しながら農村の未来を育んでいく。

5年目となる2026年、現在参加者募集中です!!

100人ではぐくむ名前はまだ無い日本酒 – ミチのムコウ

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