【ミチのムコウ】100人ではぐくむ名前はまだ無い日本酒2025~田んぼ準備編~

今年も田んぼの準備が始まりました。3月とは思えないあたたかさの中、隅堀り・施肥・耕耘作業を行いました。田んぼに水を入れる前の大切な作業です。

明日は確実に筋肉痛!

本日の作業はスコップやクワ、トラクターなど道具が限られているために参加できる方は先着順です。今年初めて参加される方、4年連続の参加というベテランの方ふくめ19名で作業を行いました。

2人1組となって肥料をまいていきます。
肥料をまいた後はトラクターにて耕耘。初めての方でもまっすぐにできています!

【米つくりの暦:五百万石】

【田んぼの準備:整地・土づくり編】

本日の作業に至る背景・意味をご紹介します。

-1隅堀り(すまほり)とは、田んぼの隅っこをスコップで掘って端を整えるとともに土を移動させる作業のことです。耕耘するのにトラクターを使いますが、隅っこはどうしてもロータリーが入らず耕耘できない部分が出てきます。またトラクターの転回やロータリーにより土がたまりやすく盛り上がってしまうことを避ける意味もあります。4月には水を入れ、水がしみだしていかないように泥の堤防を築いていく(畦塗り)のですが、前年の畦塗理部分を削っていかないと田んぼがどんどん小さくなっていきますし、冬にはモグラが穴をあけていることも多く、その穴を見つけていくことも必要です。スムーズなお米つくりができるように田んぼの環境を整えていく準備です。

 -2施肥(基肥)も行いました。有機肥料(C/N=12、食物残渣の発酵堆肥)と貝殻化石分(Ca、Mg、その他微量無機物などのミネラル補給)を投入しトラクターにて耕耘していきます。今回投入した肥料は稲の初期生育・稲自身の身体をつくるのに主に使われます。ここで大切なことが、土づくりは今回がスタートでなく、実は田んぼをつくり続けているということ自体も含まれているというところです。短期的には今回の施肥、中期的には昨年の稲刈りをしたあとに残った稲わらを浅く耕耘しておく秋処理があり、秋から春にかけて土壌微生物によって少しずつ分解されていき、田植え頃には一部を稲が養分として吸収できるような状態になります。そして長期的には毎年すきこんでいる稲わらや有機肥料の一部が時間をかけて分解され少しずつ養分として吸収されたり、微生物のエサとして使われたりして土壌環境を豊かにしていくことにもつながっています。以下の図1に三大栄養素(N,P,K)のひとつである窒素(N)を例に挙げて概要を見ていきましょう。

出典:有機栽培の基礎と実際(農山漁村文化協会 小祝政明著)、一部改変

稲が主に吸収する窒素分は硝酸態窒素(NO3―)もしくはアンモニア態窒素(NH4-)という小さな分子です。化学肥料ではピンポイントでこの成分を施肥することになりますが、有機肥料の場合はこの2成分に加え、分解途中である比較的大きな分子も含まれています。それらを土中にすきこむことで微生物により徐々に分解されていくことになりますが、分解にかかる時間が異なるために、数年から数十年かけて少しずつ養分となっていくことになります。これが土に蓄えられた養分のもと、力ということで地力窒素(腐食の一部)と言われます。ここでは詳細についてはふれませんが、有機的な栽培の特徴の一つとして、こうした中長期的な視点での土づくりがあります。

さて、田んぼの準備が整ってきました。来週は集落での溝掃除があります。これも水稲栽培に必須な水を安定的に供給していくために大切な作業です。数キロにわたる溝を点検し、泥上げや掃除をしていきます。農業を営んでいくうえで共通の資本である農業インフラはみんなで維持して未来につなげていくのです。

4月、次の「畦塗り」でまたお会いしましょう!!

****************************************

『土』から『口』まで、より『良』きつながりを。
私たちは丹波篠山にて、「里山における有機農業」を実践するクリエイティブチームです。

【お知らせ】連携活動

●100人ではぐくむ名前はまだ無い日本酒2025【ミチのムコウ】 参加者募集中!

 ★お申込みはこちら(2025年4月20日締め切り予定)

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSePnZlasXJGIpYKei71iamhAkeag5thW2y2xy9xp5WzoKEjeQ/viewform

 ★プログラム内容はこちら(2025年3月6日の投稿)

****************************************