「ここがここであること」、新緑の季節野菜出荷スタート

「『ここがここであること』の大切さに気づきました」とおきしーのひと言。

農園で一緒にはたらくようになって3年目、とても大切な言葉だと感じましたので、新緑の季節野菜のスタートが本格化するタイミングで紹介させていただきます。

新緑の息吹と共に、季節野菜が大きく生長しています

きっかけは日常の農作業とのこと。毎年のようにトラクターで土をおこし、畑の準備をしているとき。小さな段々畑にて、切り返しのときに溝に落ちないよう注意しながら操作していたときにふと気づいたよう。一見非効率な作業、五感で感じる風景、今までの営農、理論的背景などが「すっと腑に落ちた」という感覚。これには3年あまりを要して初めてだそうです。何やら抽象的・感覚的ではありますが、私は農業に携わることの本質、これからの働き方・かかわり方のヒントになるのではないかと思いました。

有機農業規格、機能性野菜、などなど見える化しやすい「付加価値」に注目されることが多く、また収入が低いから農家になる人が少ないのだという議論も多いですが、それだけではないようにも感じます。ラベル情報は充実してきている一方で、見えにくい背景について実感をともなうことが減ってきている、本質的意味の消失が起きているように思います

自然豊かに見える農村では、野草に関しても毎年採り続けられるように採取の制限を設ける必要がありますが、野草がブームとなってくれば自然的再生産の限度を超えての収穫が行われたり、もしくは生産性向上のためにハウス栽培にて管理的に増産されたりすることも可能です。食に関わるビジネスの側面としては成長を達成することは可能かもしれませんが、自然のリズムの中で一部をいただくという感覚、複雑な関係性の中で再生産を意識する感覚は培われません。市場に農業を合わせるのではなく、農業のある環境に市場を一部組み込むということ。閉じた世界ではなく、市場経済と関係することは大切ですし、現代においては切り離すことはできません。受け継いでいくべきこととと、社会の変化に応じてむしろ積極的に変えていくことを考え続け、上記の姿勢は逆転しないようにすることが大切なのではないでしょうか。そんなことを作業終わりに語り合った日でした。「持続可能性」「多様性」という言葉には毎日のように出会いますが、それらの背景について視野を広げる機会のひとつを農村・農業から提案していきたいなと思います。

イメージした農村版ドべネックの桶。桶の中身は何に例えられるでしょうか?

※ドベネックの桶 とは、「リービッヒの最小養分の法則」、すなわち「生物の成長はその生物が利用できる必須栄養素のうち最少のものに依存する」を図解したもの。 栄養学に限らず複雑な要素が絡まり合っている状態を説明するときのイメージとしてもつかわれることが多い。

ここで育つ野菜たちには、ここでの環境、歴史、今の作り手、消費者とともにあります。手にとるとき、食べるときに、こうした背景をちょこっと思い出していただくと私たちはとてもうれしく思いますし、こうして農業そして農業を通じた大切なところが次世代に受け継がれいくことに何よりの喜びを感じます。

さてこの時期、世間のGWは「Golden Week」ですが、農家のGWは「Going Work」。

畑も田んぼも農繁期に突入です!

スパイシーリーフシリーズ
知識ではなく、実感としての共生
山林、田んぼ、畑、水路、畦がモザイク状に存在する。
生産効率は低いかもしれないが、脈々と受け継がれてきた大切なものと共にある農業をこれからも伝えていきたい。

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『土』から『口』まで、より『良』きつながりを。
私たちは丹波篠山にて、「里山における有機農業」を実践するクリエイティブチームです。

【お知らせ】

●連携:新たな活動拠点「AZE HOUSE」がプレオープン!

●農園:チームとして食と農を次世代へ「Open Farm for Chef(仮)」開催企画中!

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