Tacoma Public Schools 「Tamba-Sasayama Study Tour 2025」

この1月に、丹波篠山国際博のプレ企画として実施されました『里山アカデミーfromタコマ』の報告です。

5日間の日程を終えたメンバー、また逢う日を楽しみにしています!
この里山をフィールドに(写真は9月の稲刈り前)

丹波篠山での滞在11日間(1/11~21)のうち、5日間(1/13~17)を吉良農園にて受け入れました。地域づくり/学びによる貢献(Community Building / Study & Service)というテーマで、アメリカ合衆国ワシントン州シアトルにあるTacoma Public Schoolsから15名の高校生が来てくれました。地域の小学生、高校生、自治会の方々とも交流ができ、私たちにとっても学び多き1週間でした。

【Program at KIRA FARM for 5 days】全体の流れ

毎朝、取組む作業の背景や歴史、意味を紹介し、それぞれのグループに分かれて作業に入ります。大まかなゴールイメージは伝えてありますが、進め方はそれぞれのグループにて相談して決めてもらいました。ホスト-ゲストの観光ではなく、訪れる人-迎える人が一緒に仕事をすることで学びを深め、かつ仕事を通じて地域に貢献するこの「study & service」はこれからの教育、いえ共育として可能性のあるプログラムであると感じました。はじめはこちらから里山や日本の農業、農村の抱える現状や課題について形式知を提供します。そして身体を動かした再生活動に入っていくことで、それぞれのペースで実体験に基づく気づきや疑問が生まれてくるようです。毎晩その内容を振り返り、共有し、また翌日のミニセミナーや作業に取り組む。3日目ほどから生徒たちの顔つきや質問内容が変わってきたように感じました。一般的な話から具体的な内容、自分たちとの違いなど、グローバル視点から本当に目の前のローカル視点までを行ったり来たり。

少し長くなりますが、この1週間を振り返っていきます。

【DAY 1; Introduction and Group Working】私たちの紹介とグループ活動

まずは自己紹介からお互いを知っていきます。東京を観光してからの丹波篠山入り、しかも農村集落の一番奥に位置する再生途中の農家や田んぼというびっくりするほどのギャップでしたが、みんなワクワクしている様子でした。まずは「里山」の紹介から、私たち吉良農園のビジョン、取組みを説明しました。それからこの1週間活動するグループ分けをし、チーム名を決めてもらいました(次の3チーム)。今日一日限りでしたが、神戸大学はじめESDボランティアグループが参加してくれました(ESDプラットフォームWILL  https://www.esd-will.org/ )。

<House Reforming team>古民家再生 漆喰チーム

チーム名:Plaster Masters(漆喰マスターズ、職人技がひかるネーミング!)

<Farmland Conservation team>農地再生チーム

チーム名:Curry Grass(カレー好きと草かりをかけてる??)

<Design & Crafts team>山の活用チーム

チーム名:Beavers(野生の土木工事のプロと言えばビーバー!)

午後からは篠山産業高校の野球部も合流、住山自治会の方、吉良農園にて週末農園として活動している方々など総勢50名をこえるにぎやかな1日目となりました。

【DAY 2; Group Working】 

2 Key Factors of SATOYAMA
<House Reforming team>古民家再生 漆喰チーム:Plaster Masters

「What is SATOYAMA?(里山って何?)」というミニ講義からスタート。二つのキーワードとして、人との相互作用であり、時代や社会によってかわっていく動的なシステムであるということを伝え、歴史的背景や現状などを紹介し、今取り組んでいる作業の意味を伝えました。それぞれのチームに分かれて作業が続きます。

【DAY 3; Mochi Pounding and Harvesting, Cooking, Hunting Experience】

<Farmland Conservation team>農地再生チーム:Curry Grass
みんなで声をかけあってのお餅つき大会!

今日はいよいよみんな楽しみにしているお餅付きの日。はやる気持ちを抑えつつ、「Agriculture in SATOYAMA(里山における農業)」についてミニ講義。ちょうど集落ではとんど焼きの日でもあったので神社にお参りしてからお餅付き。掛け声をかけあっておいしいお餅がつきあがりました。その後、夕食に使うネギを収穫するチームと狩猟でとれたシカを解体するチームに分かれました。中山間地における農業は野生動物からの脅威から農作物を守り、いかに共生関係を築いていくか、、、非常に厳しい問題に直面しています。それを肌で学ぶ機会となりました。楽しい農業体験だけに終わらない、課題も含めた農村をまるごと学ぶ日でもありました。

【DAY 4; Group Working】

農村における土地利用や機能についてのミニ講義
<Design & Crafts team>山の活用チーム:Beavers

「Our vision for Nature Positive ≒ Satoyama」というミニ講義から。Nature Positive(日本語では自然再興と訳されます)という最近話題となりつつあるテーマです。自然保護、環境への負荷低減でとどまらず、生物多様性の損失に歯止めをかけ、回復傾向へ向かわせるための取り組みです。2022年12月カナダのモントリオールにて開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)や、G7 2030年自然協約などにおいてもその考え方が掲げられ、行政や企業が取組みをはじめています。日本ではネイチャーポジティブ経済への移行戦略も策定されています(https://www.env.go.jp/press/press_03041.html)。といっても、これは全く新しい概念というよりは、長い歴史の中で形成されてきた里山というシステムや現在の最新テクノロジー、これからの社会ビジョンなどを融合させた概念だと解釈することも可能だと思います。そのヒントは農村にこそ息づいているといえるのかもしれません。

【DAY 5; Reflection】

最後にお茶席。日本の伝統文化を感じてもらい5日間を閉じました。

5日目最終日。それぞれのチームの成果を共有し、お互いの仕事を称え合いました。みんな非常にいい笑顔でそれぞれのフィールドを紹介してくれました!

お別れの時間が近づいたとき、うれしいサプライズ。この5日間一緒に活動をサポートしてくれた友人の高校生からお茶席を設けてくれるとのこと!!活動を共にし、生まれ変わった古民家にて高校生が高校生にふるまうお茶。とても素晴らしい時間となりました。

2024年から始まった新しい活動拠点の再生プロジェクト。多くの方々のご協力のもとスタートを切ることができました。この5日間、企画から運営まで一生懸命に考え、実行してくれた吉良農園スタッフのおきしー、通訳兼チームメイトとして活動してくれたトレント、たくみくん、三人の存在がなければ成り立ちませんでした。全体の通訳のめぐみさん、ツアー全体の企画、運営のウイズささやま大西さん、藤本さん、そしてあたたかく迎え入れてくれた住山、不来坂集落のみなさん、本当にありがとうござました!!

 この活動拠点(名前はまだ無い??)は、新しい活動の拠点かつオープンフィールドとして展開していく予定です。今後の活動予定についてはまたHPなどを通じてお知らせしていきますので、みなさんの参加をお待ちしております!

次代につなぐ新しい里山をともに創っていきましょう!!
ラッピングバス”丹波篠山”にて次のフィールドへ! 5日間ありがとう!!
Study Tour の感想その1
Study Tourの感想その2

本ツアー主催事業者の一般社団法人ウイズささやまさんとは里山アカデミー、里山暮らしツアーなどでお世話になっており、丹波篠山の良さを広く知ってもらう活動の良きパートナーです。観光だけに終わらない農村を体験できるコンテンツを企画・提供されておりますので、ぜひ以下のリンクからご覧ください!

ウイズささやま旅行業のページ

Instagram里山暮らしアカウント

https://www.instagram.com/satoyamagurashi3380?igsh=NG5pMG9ibTRneGR4&utm_source=qr

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『土』から『口』まで、より『良』きつながりを。
私たちは丹波篠山で「里山における有機農業」に取組むクリエイティブチームです

【お知らせ】

●100人ではぐくむ名前はまだ無い日本酒2025 参加者募集中!

 ★お申込みはこちら(2025年4月20日締め切り予定)

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSePnZlasXJGIpYKei71iamhAkeag5thW2y2xy9xp5WzoKEjeQ/viewform

 ★プログラム内容はこちら(2025年3月6日の投稿)

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